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PAACニュース147号:脳血管障害-カイロプラクティック手技は行わず:症例報告
2018/10/18
Annabel L.Kier,DC、Peter W.Carthy,PhD 著
訳:栗原輝久
概観
目的:慢性頭痛のある患者のケースについて述べる。診察時の疼痛は強くは無かったが、徴候や症状は懸念されるものだた。後に、この患者には脳血管障害が生じた。
臨床上の特徴:49歳の男性は、非外傷性の原因が明確でない慢性的な頭痛と頸部痛の治療のために来院した。検査や単純レントゲン像に目立ったものはなく、症状は機械的な原因によるものだと思われたが、既往歴に関する情報から懸念が生じた。
治療と結果:この患者を検査したが、カイロプラクターはマニピュレーションを行わずに、この患者の係りつけの医師に照会し、セカンド・オピニオンを求めた。一週間後、この患者は脳血管障害のために入院した。
結論:脳卒中の前駆症状の化膿性のある指標は、検査所見や誘発試験よりも既往歴にみられるのかもしれない。(J Manipulative Physiol Ther 2006;29:330-335)
鍵となる言葉:カイロプラクティック:脳血管障害
頸椎のマニピュレーションや授動法は、頸部痛や頭痛の管理に関して効果的であるとみなされている。その結果として、カイロプラクター、オステオパス、理学療法士といった手技治療家の治療を求める人が増え続けている。稀ではあるが、不運なことに潜行性の重篤な状態が機械的な頸部痛や頭痛などの臨床像と類似した状態を呈する可能性がある。これらに共通して、大衆紙の中で最も人の感情に訴え、興味をもたれるものは、血管性のもの-脳血管障害医(cerebral vascular accident)や脳卒中ーである。
症例報告
病歴
農夫の49歳の男性は、10代の頃より周期的に悪化する慢性的な頸部痛とそれと関連した潜行性に発症した後頭骨-側頭骨にかけての頭痛を訴えていた。頭痛の強度は、視覚的アナログ・スケールで1~7の範囲で計測され、最悪の時には、彼は暗い部屋で首を支えてベッドで休息することを強いられた。疼痛が強い時には、彼の頸部の可動域は全方向で著明に制限された。また彼は、両側の耳鳴りと悪心を経験していたが、嘔吐はしなかった。平均的には、症状が少なくとも2~3日間続き、非ステロイド系抗炎症薬によって中程度の緩和が得られるというものだった。今回の症例はの発症頻度や使用した医薬品の量に関する詳細を得ることは、特に困難だった。この患者は、(発症の)パターンは無いようだと言っていた。更に彼は、全体的な重症度が数年間は悪化していないという事を強調していた。来院時、彼は、僅かな頸部痛、後頭部痛、不快感を訴えていた。この患者は、両腕を頭上に挙げた状態で生け垣を刈り込んでいる時に症状が出たと言っていた。この状態が3週間続いた。視覚的アナログ・スケールで7/10の強さから始まった疼痛は、徐々に2/10まで軽減した。
■健康な若者
■目立った病歴が無い
■脳卒中の危険因子が無い、あるいは殆ど無い
■臨床検査やレントゲン検査によって重大なものが確認できない
■何らかの大きな危険性があるとは思えない女性
図1.頸椎マニピュレーションに関連した脳血管障害の危険性がある患者集団に関する人口統計、TerrettとRothwell達の資料の改作。
彼の病歴には、頭痛と明らかに関連の無い失神があった。たった1回の失神が5年前にあったと報告された。1978年には脳波を含んだ検査を行ったが、正常だった。彼には診察時に境界型の高血圧があり、甲状腺機能低下症のためにサイロキシンを3年間使用していた。彼は、喫煙者ではなく、係りつけの医師から片頭痛だと診断された事がある。彼の父親には脳卒中と心筋梗塞があった。同様に彼らの母親にも心筋梗塞があり、高血圧、頸部痛、頭痛の病歴があった。
検査
彼の血圧は180/95mmhgで、心拍数は76回/分だった。デジェリンの三徴候、神経学的検査、整形外科検査、頸椎の可動域検査に目立ったものは無かった。触診によって、上部、中部、下部頸椎、そして上部胸椎の制限が判った。両側の後頭下筋群と上部僧帽筋に圧痛が認められた。頸椎のレントゲン像の指示が出されて、これによってC5-C6の僅かな椎間板の退行変性が明らかになった。
仕事環境の分析
幾つかの症状と徴候が気掛かりだった。彼の症状は、慢性的で潜行性の非外傷性の頸椎椎間関節炎、あるいは頸椎由来の緊張性頭痛や断続的な片頭痛の発症と関連していたが、このケースの診断決定の難しさには幾つかの疑惑を起こさせる特徴が含まれていた。彼の家族の心血管疾患や脳卒中という病歴と同様に、高血圧の監視中という彼の病歴と共に、この患者の明らかに上昇した血圧が懸念された。ある激しい発作中の両側の耳鳴りや嘔吐の無い悪心も警戒された。
これらは、単独で脳血管の重大な障害の危険因子となる可能性があるが、同時に起こった事を考えると、無視する事はできなかった(図1と図2)。更に、ある激しい発作中に頸椎の全方向への可動域減少が診られたが、これは、非外傷性の椎間関節炎、片頭痛、頸椎由来の緊張性頭痛に予測される症状ではなかった。
■耳鳴り(Tinnitis)
■目が眩む(Dizziness)、片頭痛、眩暈、軽度の頭痛
■転倒発作(Drop attacks)、意識消失
■複視(Diplopia)(他の視覚問題や一過性の黒内障)
■構音障害(dysarthria)
■触覚不全(Dysphagia)
■歩行や四肢の運動失調(Ataxia of gait/extremities)、一側への平衡不全
■嘔吐の有無に関わらない悪心(Nausea ± vomiting)
■特に片側の顔や身体の痺れ(Numbness especially if unilateral face or body)
■眼振(Nystagmus)
図2.椎骨脳底動脈の虚血(vertebrobasilar ischemia:VBI)の主要な徴候と症状、覚え易くするために、1つのT、5つのD、1つのA、3つのNと覚える。
頸胸椎部に認められた典型的な固着パターンにも拘わらず、検査結果も懸念された。触診によって明らかになった関節の中程度の制限は、慢性的な機械的機能障害などの際に予期されたものとは関連していなかった。更に、(頸椎の可動域検査では?)彼の頭痛を再現する事ができなかった。仕事環境の分析とそれと関連した懸念事項について、彼に説明した。頸椎マニピュレーションを含む治療計画を開始する前に、係りつけの医師と自分の状態について話し合う事を勧めた。一週間後、脳血管障害が生じ、彼に片麻痺と言語障害が残った。(以下省略)
訳:栗原輝久
概観
目的:慢性頭痛のある患者のケースについて述べる。診察時の疼痛は強くは無かったが、徴候や症状は懸念されるものだた。後に、この患者には脳血管障害が生じた。
臨床上の特徴:49歳の男性は、非外傷性の原因が明確でない慢性的な頭痛と頸部痛の治療のために来院した。検査や単純レントゲン像に目立ったものはなく、症状は機械的な原因によるものだと思われたが、既往歴に関する情報から懸念が生じた。
治療と結果:この患者を検査したが、カイロプラクターはマニピュレーションを行わずに、この患者の係りつけの医師に照会し、セカンド・オピニオンを求めた。一週間後、この患者は脳血管障害のために入院した。
結論:脳卒中の前駆症状の化膿性のある指標は、検査所見や誘発試験よりも既往歴にみられるのかもしれない。(J Manipulative Physiol Ther 2006;29:330-335)
鍵となる言葉:カイロプラクティック:脳血管障害
頸椎のマニピュレーションや授動法は、頸部痛や頭痛の管理に関して効果的であるとみなされている。その結果として、カイロプラクター、オステオパス、理学療法士といった手技治療家の治療を求める人が増え続けている。稀ではあるが、不運なことに潜行性の重篤な状態が機械的な頸部痛や頭痛などの臨床像と類似した状態を呈する可能性がある。これらに共通して、大衆紙の中で最も人の感情に訴え、興味をもたれるものは、血管性のもの-脳血管障害医(cerebral vascular accident)や脳卒中ーである。
症例報告
病歴
農夫の49歳の男性は、10代の頃より周期的に悪化する慢性的な頸部痛とそれと関連した潜行性に発症した後頭骨-側頭骨にかけての頭痛を訴えていた。頭痛の強度は、視覚的アナログ・スケールで1~7の範囲で計測され、最悪の時には、彼は暗い部屋で首を支えてベッドで休息することを強いられた。疼痛が強い時には、彼の頸部の可動域は全方向で著明に制限された。また彼は、両側の耳鳴りと悪心を経験していたが、嘔吐はしなかった。平均的には、症状が少なくとも2~3日間続き、非ステロイド系抗炎症薬によって中程度の緩和が得られるというものだった。今回の症例はの発症頻度や使用した医薬品の量に関する詳細を得ることは、特に困難だった。この患者は、(発症の)パターンは無いようだと言っていた。更に彼は、全体的な重症度が数年間は悪化していないという事を強調していた。来院時、彼は、僅かな頸部痛、後頭部痛、不快感を訴えていた。この患者は、両腕を頭上に挙げた状態で生け垣を刈り込んでいる時に症状が出たと言っていた。この状態が3週間続いた。視覚的アナログ・スケールで7/10の強さから始まった疼痛は、徐々に2/10まで軽減した。
■健康な若者
■目立った病歴が無い
■脳卒中の危険因子が無い、あるいは殆ど無い
■臨床検査やレントゲン検査によって重大なものが確認できない
■何らかの大きな危険性があるとは思えない女性
図1.頸椎マニピュレーションに関連した脳血管障害の危険性がある患者集団に関する人口統計、TerrettとRothwell達の資料の改作。
彼の病歴には、頭痛と明らかに関連の無い失神があった。たった1回の失神が5年前にあったと報告された。1978年には脳波を含んだ検査を行ったが、正常だった。彼には診察時に境界型の高血圧があり、甲状腺機能低下症のためにサイロキシンを3年間使用していた。彼は、喫煙者ではなく、係りつけの医師から片頭痛だと診断された事がある。彼の父親には脳卒中と心筋梗塞があった。同様に彼らの母親にも心筋梗塞があり、高血圧、頸部痛、頭痛の病歴があった。
検査
彼の血圧は180/95mmhgで、心拍数は76回/分だった。デジェリンの三徴候、神経学的検査、整形外科検査、頸椎の可動域検査に目立ったものは無かった。触診によって、上部、中部、下部頸椎、そして上部胸椎の制限が判った。両側の後頭下筋群と上部僧帽筋に圧痛が認められた。頸椎のレントゲン像の指示が出されて、これによってC5-C6の僅かな椎間板の退行変性が明らかになった。
仕事環境の分析
幾つかの症状と徴候が気掛かりだった。彼の症状は、慢性的で潜行性の非外傷性の頸椎椎間関節炎、あるいは頸椎由来の緊張性頭痛や断続的な片頭痛の発症と関連していたが、このケースの診断決定の難しさには幾つかの疑惑を起こさせる特徴が含まれていた。彼の家族の心血管疾患や脳卒中という病歴と同様に、高血圧の監視中という彼の病歴と共に、この患者の明らかに上昇した血圧が懸念された。ある激しい発作中の両側の耳鳴りや嘔吐の無い悪心も警戒された。
これらは、単独で脳血管の重大な障害の危険因子となる可能性があるが、同時に起こった事を考えると、無視する事はできなかった(図1と図2)。更に、ある激しい発作中に頸椎の全方向への可動域減少が診られたが、これは、非外傷性の椎間関節炎、片頭痛、頸椎由来の緊張性頭痛に予測される症状ではなかった。
■耳鳴り(Tinnitis)
■目が眩む(Dizziness)、片頭痛、眩暈、軽度の頭痛
■転倒発作(Drop attacks)、意識消失
■複視(Diplopia)(他の視覚問題や一過性の黒内障)
■構音障害(dysarthria)
■触覚不全(Dysphagia)
■歩行や四肢の運動失調(Ataxia of gait/extremities)、一側への平衡不全
■嘔吐の有無に関わらない悪心(Nausea ± vomiting)
■特に片側の顔や身体の痺れ(Numbness especially if unilateral face or body)
■眼振(Nystagmus)
図2.椎骨脳底動脈の虚血(vertebrobasilar ischemia:VBI)の主要な徴候と症状、覚え易くするために、1つのT、5つのD、1つのA、3つのNと覚える。
頸胸椎部に認められた典型的な固着パターンにも拘わらず、検査結果も懸念された。触診によって明らかになった関節の中程度の制限は、慢性的な機械的機能障害などの際に予期されたものとは関連していなかった。更に、(頸椎の可動域検査では?)彼の頭痛を再現する事ができなかった。仕事環境の分析とそれと関連した懸念事項について、彼に説明した。頸椎マニピュレーションを含む治療計画を開始する前に、係りつけの医師と自分の状態について話し合う事を勧めた。一週間後、脳血管障害が生じ、彼に片麻痺と言語障害が残った。(以下省略)