PAACニュース153号:女性ランナーの仙骨の疲労骨折:症例報告

2018/10/21

       Daniel W.Haun,DC、Norman W.Kettner,DC、Terry R.Youchum,DC、Richard L.Green,DC 著

                                             訳:栗原輝久

概観
目的:今回の症例報告では、仙骨疲労骨折患者の臨床像、診断、管理について詳述し、議論する。
臨床的特徴:26歳の長距離ランナーは、非特異的な腰痛と臀部痛のために走ることができなくなって、来院した。
治療と結果:この患者の腰椎と骨盤のレントゲン所見は正常だと解釈された。単光子放射型コンピューター断層撮影と核磁気共鳴画像撮影が行われ、左仙骨翼の疲労骨折が明らかとなった。この患者は、6ヶ月間トレーニングを止めて、その後、徐々にランニングを再開した。
結論:骨折が強く疑われる際には、骨シンチグラフィー、単光子放射型コンピューター断層撮影(SPECT)、核磁気共鳴画像による検査を指示するべきである。仙骨のストレス骨折は、時機を逸せずに診断を下せば、保存的方法に良い反応を示すだろう。(J Manipulative Physiol Ther 2007;30:228-233)
鍵となる言葉:骨折:ストレス:腰痛:スポーツ障害:核磁気共鳴画像;単光子放射型コンピューター断層撮影



 図1.骨盤のレントゲン前後像、左仙骨翼に異常 図2.単光子放射型コンピューター断層撮影(SPECT)
   は見られない。レントゲン像で、仙骨の    軸写像(A)と前後像(B)。左仙骨翼での放射性同
   疲労骨折が見られることは稀である。     位元素の取り込みの増強が見られる。これは、
                         疲労骨折と一致する。これは造骨活動の促進を
                         表していて、骨折治癒機転の内の修復段階中に
                         生じるものである。


図3.核磁気共鳴反転回復冠状断面像(A)とT2強調の核磁気 図4.核磁気共鳴反転冠状断画像(A)、骨髄浮腫の部位によ
共鳴水平断画像(B)、左仙腸関節に隣接する左仙骨翼に高 って取り込まれた線形の低信号強度領域が見られる。これ
信号領域である骨髄浮腫(矢印)が見られる。       はストレス骨折の徴候である。ガドリニウム造影でT1強調
                           の核磁気共鳴冠状断画像(B)、線形の低信号強度の骨折線
                           (矢印)を取り囲む骨髄浮腫の部位に造影増強が見られる。


図5.CTスキャン水平断画像、僅かな小柱状の高信号
領域(矢印)が見られる。これは、ストレス骨折の治癒
と一致する。この画像は、診断から約4ヶ月後に撮ら
れたものである。
        (以下省略)

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