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PAACニュース156号:ランガー腋窩弓における研究、正中神経に対する神経動力学的検査の際の筋の変異の影響

2018/10/24

       Tom Van Hoof,PT、Carl Vangestel,PT、Malcolm Forward,PhD、C.Eng、Verhaeghe,PT,                
                     Lien Van Vanhilborgh,PT、Frank Plasschaert,md、Martine   de Mynck,MD,PhD、
                   Guy Vanderstraen,MD,PhD、Katharina D'Herde,MD,PhD 著

                                                      訳:栗原輝久

概観
方針:腕神経叢と正中神経の力学と生理学を判定するために、正中神経の神経動力学検査1(Upper Limb Neuromuscular Test1:ULNT1:上肢の神経動力学検査1)がしばしば行われている。目下の研究では、ランガー腋窩弓(Langer's Axillary arch:LAA)のある健康な集団ではULNT1が陽性である事を予測し、LAAが上肢の神経動力学検査1(ULNT1)での肘の伸展可動域(elbow extension range of motion:EE-ROM)に影響するのか否かを分析している。
方法:篩い分けされた640人のボランティアの内、26人のLAA側を最終的に採用した。追加的な病歴聴取によって、数人の被検者の軽微な症状が明らかになった。軽微な症状では、日常生活活動に障害は無く、医学的指示も求められないので、病気とはみなされてはいない。今回の研究では、LAAの患者ではULNT1によって軽微な症状や異常な反応が再現されるのか否かを調査した。被検者の左右の肘の伸展可動域(EE-ROM)を比較した。(頸部の反対側への側屈による)末梢に対する牽引を行って、LAA側と対照群を比較した。
結果:ランガー腋窩弓側には軽微な症状の大きな増悪とULNT1の陽性所見が診られたが、肘の伸展可動域における影響は見られなかった。
結論:これらの所見から、LAAが腋窩の神経血管束への一時的な刺激になりうるだろうという事が示唆された。肘の伸展可動域が影響を受けなかったのは、軽微な症状の血管性の原因によるもの、あるいは ULNT1に対する尺骨神経/内側神経束の反応の結果なのだろう。(J Manipulative Physiol Ther 2008;31:474-483)
鍵となる言葉:局所解剖学:腕神経叢:正中神経:神経血管症候群:診断:リハビリテーション

 臨床的な適用
 ・ランガー腋窩弓によって神経学的(そして血管性の)障害が生じるかもしれないが、無症状かもしれない。
 ・健康な被検者のランガー腋窩弓では、正中神経に関する神経動力学検査の際の肘関節の伸展可動域(EE-ROM)は
   影響されない。
 ・対照群と比べると、ランガー腋窩弓のある健康な被検者では、(軽微な症状の再現や異常な感覚反応に基づく)軽    
  微な症状や陽性ULNT1の発生が非常に多い。
 ・ULNT1による軽微な症状の発現(再現)は、血管性、あるいは神経性であるかもしれない。

 (以下省略)

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