• トップ
  • 院長ブログ
  • PAACニュース157号:潜在性で慢性の非癌性腰痛の診断のための反復性の上体直立位での核磁気共鳴画像

PAACニュース157号:潜在性で慢性の非癌性腰痛の診断のための反復性の上体直立位での核磁気共鳴画像

2018/10/25

     John W.Gilbert,MD、Greg R.Wheeler,MD、Martin P.Kreft,DPT、Shailesh P.Upadhyay,MD、
     Benjamin B.Storey,MD、John R.Spitalieri,DO、Gregory E.Mick,DO、Richard A.Gibbs,MD著
 
                                           訳:栗原輝久

概観
目的:慢性の非癌性腰痛の症例は、脊椎治療専門家が治療を求められる中で、最も頻繁に遭遇し、且つ最も困難なものとである。我々は、今回の症例を用いて、障害診断と障害の変化を検出するために、反復性の上体直立位での体重支持状態で核磁気共鳴画像の潜在的有効性を明らかにする。
臨床的特徴:我々は、(左側よりも右側が強い)坐骨神経痛を伴った非癌性の腰痛を主訴として、我々の神経外科クリニックに照会されてきた35歳の男性の症例を提示する。これまでの臥位での核磁気共鳴画像によって、L5/S1での椎間板疾患と2.2mm(グレード1)の変性脊椎辷り症が明らかになった。この患者は、1年以上に及ぶ保存的治療っでは改善がみられず、更に、疼痛制御のために、彼の状態の変化を隠してしまう可能性のあるアヘン剤の処方を受けていた。
治療とその結果:我々のクリニックに照会されてきた後、臥位での撮影から14ヶ月後、我々は、上体直立姿勢(坐位)による体重支持状態での反復した核磁気共鳴画像の撮影を指示した。体重支持状態でのMRI画像によって、L5/S1の9.13mmの変性脊椎辷り症が明らかになった。この患者は、脊椎固定術を受けた。彼の下肢痛と腰痛は、臨床的に大きく改善した。
結論:非癌性の腰痛患者の疼痛が悪化し、改善しない、あるいは疼痛制御のためにアヘン剤が必要な時には、反復性の(上体)直立位での撮影を含む最新の臨床画像が効果的な診断戦略となるだろう。(J Manipulative Physiol Ther 2008;31:627-631)
鍵となる言葉:脊椎辷り症:脊椎分離症:腰椎:核磁気共鳴画像

 
 図1.今回の患者の腰椎の最初のMRI画像。臥位の状態  図2.今回の患者の腰椎の最初のMRI画像。臥位の状態で
 で撮影された。正中矢状断画像で、L5/S1の退行変性、 撮影された。傍矢状断画像で、直径4.5mmの神経孔が
 僅かな椎間板突出、僅か2.2mmのグレード1の変性脊   が見られる。
 椎辷り症が見られる。

  
 図3.このMRI画像は、最初の臥位でのMRI撮影から14  図4.このMRI画像は、最初のMRI撮影から14週間後に
 ヶ月後に上体を直立させた坐位の状態で撮られた。   上体を直立させた坐位の状態で撮影された。傍矢状断
 正中矢状断で9.12mmのグレード1の変性脊椎辷り症   画像では2.1mmの神経根の直径とL5の椎間板の脱水が
 とL5の椎間板の進行中の脱水が見られる。       示されている。

 

PAGE TOP