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PAACニュース158号:線維筋痛症の女性の疼痛知覚、筋の柔軟性、疾病の影響に対する2種類の理学療法プログラムンの効果:予備的研究

2018/10/25

           M.Valencia、B.Alosono、M.J.Alvalez、M.J.Barrientos、C.Ayan、V.Martin Sanchez 著

                                              訳:栗原輝久

訳者より、PAACニュース136号に線維筋痛症に関する論文が2題掲載されていますが、以下に参考になると思われる部分を抜粋します。

合衆国リウマチ学会による線維筋痛症の診断基準
1.広範な疼痛の既往歴。以下の事項が全て見られる時に、広範な疼痛とみなす
 ●身体の両側に疼痛がある
 ●(肩と臀部を含んだ)腹部の上下に疼痛がある
 ●軸骨格(頸椎、胸椎、前胸部、腰部)の疼痛がなければならない
 ●上記の3つの部分での疼痛が広範な疼痛という基準を満たす
2.以下の18ヶ所(両側の9ヶ所)の圧痛点の内、指による触診で11ヵ所に疼痛がみられる
 後頭骨:後頭下筋群の両側の付着部
 下部頸椎:C5ーC7の両側の横突起間スペースの前部
 僧帽筋:両側の僧帽筋上縁の中心部
 棘上筋:両側の肩甲骨内縁近くで肩甲棘上部の起始部
 第2肋骨:両側の第2肋骨-肋軟骨結合部
 (上腕骨)外側上顆:両側の外側上顆末梢2cmの部位
 臀筋:両側の臀溝の上外側部
 大転子:両側の大転子の隆起の後方
 膝;両側の関節裂隙内側で脂肪の豊富な部分。

概観
 目的:今回の研究は、線維筋痛症(fibromyalgia syndrome:FMS)の女性の柔軟性の改善と疾病の影響や疼痛知覚の軽減のための2種類の理学療法プログラムの効果を判定し、短期と中期の2種類のプログラムの効果を比較した。
 方法:20人の線維筋痛症患者を無作為に2つのグループに割り当てた。1つのグループは、運動療法と能動的な筋のストレッチのプログラムを行い、もう1つのグループは、Mezieres法に従って全身の線維筋痛症の理学療法を行った。両方のグループとは、12週間に週に2回頻度で行ってmezlers 法に従って、全身の筋筋膜の理学療法を行った。両方のグループは、12週間に週に2回の頻度で会ったが、各週で系150分間だった。柔軟性と疾病の影響を標準的な検査で測定したが、その一方で疼痛は母指での触診によって判定した。プログラムの開始時、終了時、終了時から24週後に測定を行った。
結果:プログラム終了時には、患者の重症度と柔軟性に関して統計学的に有意な軽減と改善がみられたが、追跡調査によると、最初の値に戻ってしまっていた。2つの治療グループ間については、最初の測定値、プログラム終了時の結果、追跡調査の結果に大きな差異は見られなかった。他のプログラムよりも優れていると立証されたものは無かった。
結論:今回の研究での線維筋痛症患者については、運動療法とストレッチ・エクササイズの両方で、柔軟性と健康状態の改善が見られた。(J Manipulative Physiol Ther 2009;32:84-92)
鍵となる言葉:機能回復:線維筋痛症:理学療法

  
 図1.仰臥位での後面の筋膜連鎖のストレッチ      図2.上腕の内側の筋膜連鎖のストレッチ、側面写真

 
 図3.上腕の前内側の筋膜連鎖のストレッチ、前面写真

  実際への適用
 ●線維筋痛症の女性は、運動療法や能動的筋ストレッチ・テクニックを活用できる。
 ●今回の研究での女性の機能回復については、Mezieres法に従った国際的な筋筋膜の理学療法が有効な手段だった。
 ●特に柔軟性訓練に基づいた理学療法プログラムは、線維筋痛症の影響を減じる事で、本症の女性患者のQoLを改善       させるだろう。

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