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PAACニュース159号:外側側副靭帯-膝関節の屈曲拘縮、下腿の外旋、足関節の尖足変形を生じさせる大腿二頭筋の石灰沈着性滑液包炎

2018/10/26

                                         Davut Keskin,MD 著

                                            訳:栗原輝久

概観
目的:外側側副靭帯(fibular collateral ligament:FCL)ー大腿二頭筋(biceps femoris:BF)の滑液包は、石灰沈着性滑液包炎の部位としては余り知られていない。外側側副靭帯ー大腿二頭筋の石灰沈着性滑液包炎症例を提示する。
臨床的特徴:18歳の男性は、検査の約1年前に右膝の外側の鈍的外傷を負っていた。時間の経過と共に、外傷部位に疼痛や肉体的歪曲が生じた。身体検査によって、右膝関節の屈曲30°での拘縮と軽度の外反変形が明らかになった。下腿の30°の外旋と足関節の15°の尖足変形があった。この患者にはつま先歩きがみられた。右膝関節の後外方部に3×4cmの大きさの過敏な腫脹があった。
治療とその結果:単純レントゲン像とCTスキャンによって、右大腿骨の外側顆の後外方部と隣接する軟部組織との間に1.5×4cmの大きさの石灰沈着性の塊の存在が明らかになった。右膝関節の外側には関節軟骨と関節裂隙の狭小化が認められ、核磁気共鳴画像によって、脛骨と大腿骨の外側部の骨髄浮腫が明らかになった。石灰沈着のみられた滑液包を切除した。拘縮のみられた腸脛靭帯も切除し、大腿二頭筋腱の部分的延長術を行った。
結論:今回の症例によって、外側側副靭帯-大腿二頭筋の滑液包に石灰沈着性滑液包炎が起こりうること、そしてこれが放置されると、愁訴へと至るかもしれない事が明らかになった。

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