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PAACニュース161号:症例報告 頸椎原性頭痛患者の手技治療後に高レベルの血中腫瘍壊死因子αが低下

2018/10/27

                  Gabor Ormos,MD、J.N.Mehrishi,PhD,FRCPath、Tibor Bakacs,MD,DSc 著

                                               訳:栗原輝久


概観
目的:今回の症例報告では、(ハンガリーのブタペストの)ハンガリー国立リウマチ学・理学療法研究所の外来クリニックに来院した2人の頸椎原性頭痛(cerivicogenic headache:CHA)の患者について議論し、頸椎原性頭痛の治療に伴う病理生理学、治療戦略、問題について再検討する。
臨床的特徴:患者1は、27歳の女性で、むち打ち損傷を受けた事があった。鋭く刺すような頭痛が発現し、頸部を後屈するだけで、あるいは頭を回すだけで即座に引き起こされ、増悪した。核磁気共鳴画像によって、c4-c5で脊髄スペースの前部を圧迫している椎間板の突出が明らかになった。
 患者2は、62歳の女性で、むち打ち損傷を受けた事があった:彼女の頸部の動きは制限されていて、これらの動作で頭痛が引き起こされた。核磁気共鳴画像によって、C4-C5間の傍正中椎間板ヘルニアが右側の脊髄スペースへと突出している事が明らかになった。
治療とその結果:患者1の手技治療から4週間後、能動的・他動的な過度域は両方とも正常に戻り、高レベルの腫瘍壊死因子α(TNF-α)(63pg/mL)も大幅に低下した(28pg/mL)。
 患者2には、週に2度の頻度で4週間に及ぶ手技治療を開始した。2ヵ月後、患者の症状は消失し、高レベルのTNF-α (72pg/mL)は大きく低下した(35pg/mL)。
結論:鞭打ち損傷と椎間関節場ヘルニアの2人患者に非常に高レベルの TNF-α を伴った頸椎原性頭痛が発症した。手技治療後、これらの患者の症状は消失し、彼女達のTNF-α レベルも大幅に低下した(J Manipulative Physiol Ther;2009:32:586-591)
鍵となる言葉:頸椎原性頭痛:腫瘍壊死因子-α:筋骨格系マニピュレーション:鞭打ち損傷

               
              図1.患者1の頸椎のMRI画像、C4-C5 での椎間板の脱出
              (prolapsed)とC5-C6レベルでの僅かな突出
              (ptotrusion)が見られる。
 
           
           図2.患者2の頸椎の核磁気共鳴画像走査、C4-C5での椎間板の
           脱出、右腹側の脊髄スペースへと侵入している傍正中椎間板ヘル
           ニアが見られる。

 臨床的な適用
 ●今回の2人の患者については、手技治療によって、臨床症状が解消され、TNF-α レベルも低下した。
 ●内生的には放出される生体適合物質は、脊椎椎間板症状と何種類かの頭痛に役割を持っているだろう。
 ●同様の症例における椎間板切除術は延期できるだろう、あるいは最終的に手技治療を試みる事で回避されるだろ
  う。

 (以下省略)

 
          

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