PAACニュース162号:多発性骨髄腫

2018/10/29

                                          Rod Kaufman,DC 著

                                             訳:栗原輝久

概観
目的:今回の諸例研究では、多発性骨髄腫の初期徴候と診断された患者について詳述し、鑑別診断と関連する部分、調査機関の活用、そして診断と管理上の問題を確立するのに役立つ先進的な画像テクニックを提出する。
臨床的特徴:36歳の男性研究者は、発熱を伴って主に夜間に生じる中背部痛と未経験の体重減少を経験した。微小外傷によって、上肢に大きな骨折と潜行骨折が生じた。身体検査によって体温上昇が明らかになったが、病因不明の発熱だった。単純レントゲン像では胸椎の瀰漫性の骨粗鬆症が見られた。臨床試験から貧血症、高カルシウム血症、異常な単クローン性異常血漿プロテインが明らかになった。核磁気共鳴画像からは、治療反応の乏しい上肢の骨折と潜行性骨折が明らかになった。
治療と結果:最初、この患者は、夜間の中背部痛を伴った病因不明の発熱と判定された。老人性疾患について考慮されたが、その後の臨床検査とレントゲン像による評価によって、多発性骨髄腫の若年性発症が確認された。早期に(本症を)認識し、癌専門医との共同管理の照会によって、最適な治療が行われた。高齢者集団における多発性骨髄腫の症例と比較すると、本症の若年性発症例では、治療に対して良好な反応がみられる事が多い。
結論:患者に夜間痛と病因不明の発熱がみられる時には、多発性骨髄腫を考慮するべきである。管理決定を行う際には、多発性骨髄腫と背部痛の他の原因との鑑別が特に重要である。綿密な病歴や理学的診断によって、本症が疑われるかもしれないが、確認には補助的検査が必要である。多発性骨髄腫は不良な予後を伴う事が多いが、概して若年性発症例では、治療に対してより好ましい反応が見られる。(J Manipulative Physiol Ther 2007:30:543-549)
鍵となる言葉:多発性骨髄腫:背部痛:カイロプラクティック

   
 図1.胸椎のレントゲン前後像、広範な骨粗鬆症が見  図2.胸椎のレントゲン側面像、広範な骨粗鬆症が見ら
 られる。                     れる。

   
 図3.手関節のレントゲン前後像、舟状骨の骨折が見  図4.A.手関節のT1強調MRI軸写像、舟状骨骨折(矢印)と
 られる。                       三角骨骨折(矢印)が見られる。B.手関節のT1強調MRI
                          前後像、舟状骨骨折(矢印1)と三角骨骨折(矢印2)が
                          見られる。

 (以下省略)                                                     

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