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PAACニュース165号:慢性頸部痛患者のリハビリテーション手順の有効性における脊椎マニピュレーションの効果:試験的研究

2018/11/02

          Bernadette Murphy,PhD,DC、Heidi Heavik Taylor,PhD,BSc(chiro)、Paul Marshall,PhD 著 

                                               訳:栗原輝久 

概観
目的:今回の試験的研究では、(1)4週間のカイロプラクティック管理で、慢性頸部痛患者が8週間の機能回復エクササイズに反応する能力が改善するのか否か、(2)将来の研究の標本規模の計算において使用するためのエフェクト・サイズを決定する事を追求した。
方法:慢性頸部痛のある20人の男女の参加者(年齢は43±12歳、ボディー・マス・インデックスは27±4.5[平均±標準偏差])を、カイロプラクティック管理とエクササイズのグループとエクササイズのみのグループに無作為に分けた。グループ1は、4週間のカイロプラクティック管理を受け、グループ2は、両方のグループが8週間のエクササイズ治療に参加する前に、4週間待機した。第1週(基準線)、第4週、12週目に以下の結果測定法を行った;頸部の身体障害指数(Neck Disability Index:NDI);視覚的アナログ尺度(Visual Analog Scale:VAS)の2つについては、現在と最悪の両方、;頸部の屈曲-弛緩反応;そしてフィードフォワード活性(feed-forward activation:FFA)時間。分散の反復測定分析を行って、ゆっくり時間をかけて頸部の身体障碍指数(NDI)と視覚的アナログ尺度(VAS)における変化を査定した。神経筋の媒介変数における変化に関して、エフェクト・サイズを計算した。
結果:両方のグループで、頸部の身体障碍指数の点数(P<.001)と視覚的アナログ尺度(P<.005)の有意な減少が見られた。グループ側には有意な差は見られなかった。エフェクト・サイズ(ESs)は以下の通りだった:頸部の身体障害指数(2.93);現在の視覚的アナログ尺度(.175);最悪の視覚的アナログ尺度(.392);屈曲-弛緩(.636);フィードッフォワード活性化時間;胸鎖乳突筋(.1321)、斜角筋(.195)。これによって、標本規模の概算は以下の通りとなる;屈曲-弛緩反応、グループ毎に64人の被検者;頸部の身体障害指数、グループ毎に145人の被検者;視覚的アナログ尺度;グループ毎に166人の被検者。
結論:慢性頸部痛患者において、機能的な身体障害と疼痛の減少について、エクササイズと組み合わされたカイロプラクティック管理と単独のエクササイズは、両方とも効果的である。グループ間の差の有無、その差が神経筋の測定値の差によるものか否かを明らかにするための今後の研究では、グループ毎に最低でも64人の被検者が必要だろう。(J Manipulative Physiol Ther 2010;33:168-177)
鍵となる言葉:マニピュレーション:エクササイズ:頸部痛:筋電図検査;カイロプラクティック

   
 図1.パネルA:最初の4週間のエクササイズ、     図2.パネルB:Aの次の4週間のエクササイズ

 臨床的適用
 ●今回の研究から、エクササイズとカイロプラクティック管理を組み合わされたものと、エクササイズのみのもの
   は、共に慢性頸部痛患者の疼痛と身体障害を改善させるという事が明らかになった。
   ●今回の症例では、治療前後の頸部の屈曲-弛緩の割合(FR ratio)と頸部の屈筋群のフィードホワード活性におけ
  る変化を測定した。
 ●今回の研究から、神経筋の測定のためのエフェクト・サイズの情報が得られたが、これは、今後のより規模の大き
  な研究に役立つものである。

 (以下省略)       

   

 

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