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PAACニュース168号:67歳女性の慢性関節リウマチによる脳幹圧迫と環軸関節の不安定性
2018/11/09
Eve E.Bonic,DC、Christopher A.Stockwell,DC、Norman W.Kettener,DC 著
訳:栗原輝久
要約
目的:今回の症例は、頸椎の長期に亘る関節リウマチに罹患した1人の患者について詳述する。この患者には重大な骨破壊、重度の関節の配列異常、生死に関わる恐れのある合併症、脳幹圧迫を伴った扁平頭蓋底がみられた。病理生理学、臨床所見、画像、外科的な管理が議論された。
臨床的特徴:67歳の女性は、関節リウマチに合併した30年にも及ぶ慢性的な頸部痛のためにカイロプラクティック・クリニックを訪れた。彼女の頸部痛は、最近になって増悪し、僧帽筋や肩に放散していた。また彼女は、最近になって軽度の嚥下障害もあると訴えていた。診察と管理のために、この患者を神経外科医へと照会した。
処置と結果:頸椎のCTスキャンと核磁気共鳴画像によって、じゅうだいな骨破壊、重度の関節の配列異常、扁平頭蓋底が明らかになった。重大な脳幹圧迫を伴った扁平頭蓋底に続く大孔の中程度の狭窄が見られた。この患者は、後頭骨からC2までの後方侵入による外科的な癒合術を受けた。この患者の疼痛強度は、手術後に減少し、嚥下障害の進行もみられなかった。これは脳幹圧迫の安定化を示していた。
結論:長期に亘る頸椎の関節リウマチのみられる患者は、慢性的な頸部痛がある事が多い。頸椎の不安定性は、リウマチによる骨溶解から生じているのかもしれないし、また環軸領域や後頭環椎領域の水平方向や垂直方向へのサブラクセーションにそれぞれ続発するものかもしれない。環軸領域の不安定性の場合には、環軸領域上部頸椎への素早く振幅の小さいマニピュレーションは、絶対的な禁忌である。適時の診断と望ましい手術結果によって、生命に関わる恐れのある障害からの緩和が得られた。今回の症例は、関節リウマチに合併した頸部痛のある患者の管理の際に必要な臨床的報告を例示している。(J Manipulative Physiol Ther 2010;33:315-320)
検索キーワード:関節炎:関節リウマチ:関節の不安定:頭蓋底嵌入症:マニピュレーション:脊椎:禁忌症:カイロプラクティック
臨床的適用
●頸椎の障害は、関節リウマチ患者では最大で86%にみられる。
●頭蓋椎骨結合部の長期における疾患のある患者には、難治性疼痛、運動性・感覚性の神経学的欠損、脊髄症がみら
れるかもしれない。
●扁平頭蓋底の単純レントゲン像で、歯突起の大孔へのヘルニアを明確にする事は困難であり、診断の遅れによっ
て、破壊的な悔過が生じ、致命的になる恐れがある。
図1.T1強調の矢状断画像、大孔へと突出した歯突起 図2.T2強調の矢状断画像、大孔へと突き抜けた歯突起
による脳幹の捻れと圧迫が見られる。脊髄の信号強 による脳幹の捻れと圧迫が見られる。脊髄の信号強度
度は正常範囲内である。環椎歯突起関節と環軸関節 は正常範囲内である。此処でも頭蓋脊椎結合部を侵し
の嵌頓や関節の重度の配列異常を伴った骨破壊や歯 ている溶骨性変化に注目せよ。斜台の嵌頓と環椎歯突
突起の崩壊が認められる。 起関節と環軸関節の重度の不整列を伴った骨破壊と歯
突起の分裂が見られる。
図3.リフォーマットされた矢状断CTスキャン画像、 図4.リフォーマットした傍矢状断画像、骨端関節
斜台の嵌頓、環椎歯突起関節の重度の不整列を伴っ の強直が見られる。この所見は、両側に見られた。
た歯突起の骨破壊と分裂、そして扁平頭蓋底を合併
した環軸関節が見られる。歯突起が大孔を貫いてい
る。
図5.術後の頸椎の前面投影画像、後頭骨からC2まで 図6.術後の頸椎の側方投影画像、後頭骨からC2まで
広がるプレートとネジでの固定が見られる。 広がるプレートとネジによる固定が見られる。
訳:栗原輝久
要約
目的:今回の症例は、頸椎の長期に亘る関節リウマチに罹患した1人の患者について詳述する。この患者には重大な骨破壊、重度の関節の配列異常、生死に関わる恐れのある合併症、脳幹圧迫を伴った扁平頭蓋底がみられた。病理生理学、臨床所見、画像、外科的な管理が議論された。
臨床的特徴:67歳の女性は、関節リウマチに合併した30年にも及ぶ慢性的な頸部痛のためにカイロプラクティック・クリニックを訪れた。彼女の頸部痛は、最近になって増悪し、僧帽筋や肩に放散していた。また彼女は、最近になって軽度の嚥下障害もあると訴えていた。診察と管理のために、この患者を神経外科医へと照会した。
処置と結果:頸椎のCTスキャンと核磁気共鳴画像によって、じゅうだいな骨破壊、重度の関節の配列異常、扁平頭蓋底が明らかになった。重大な脳幹圧迫を伴った扁平頭蓋底に続く大孔の中程度の狭窄が見られた。この患者は、後頭骨からC2までの後方侵入による外科的な癒合術を受けた。この患者の疼痛強度は、手術後に減少し、嚥下障害の進行もみられなかった。これは脳幹圧迫の安定化を示していた。
結論:長期に亘る頸椎の関節リウマチのみられる患者は、慢性的な頸部痛がある事が多い。頸椎の不安定性は、リウマチによる骨溶解から生じているのかもしれないし、また環軸領域や後頭環椎領域の水平方向や垂直方向へのサブラクセーションにそれぞれ続発するものかもしれない。環軸領域の不安定性の場合には、環軸領域上部頸椎への素早く振幅の小さいマニピュレーションは、絶対的な禁忌である。適時の診断と望ましい手術結果によって、生命に関わる恐れのある障害からの緩和が得られた。今回の症例は、関節リウマチに合併した頸部痛のある患者の管理の際に必要な臨床的報告を例示している。(J Manipulative Physiol Ther 2010;33:315-320)
検索キーワード:関節炎:関節リウマチ:関節の不安定:頭蓋底嵌入症:マニピュレーション:脊椎:禁忌症:カイロプラクティック
臨床的適用
●頸椎の障害は、関節リウマチ患者では最大で86%にみられる。
●頭蓋椎骨結合部の長期における疾患のある患者には、難治性疼痛、運動性・感覚性の神経学的欠損、脊髄症がみら
れるかもしれない。
●扁平頭蓋底の単純レントゲン像で、歯突起の大孔へのヘルニアを明確にする事は困難であり、診断の遅れによっ
て、破壊的な悔過が生じ、致命的になる恐れがある。
図1.T1強調の矢状断画像、大孔へと突出した歯突起 図2.T2強調の矢状断画像、大孔へと突き抜けた歯突起
による脳幹の捻れと圧迫が見られる。脊髄の信号強 による脳幹の捻れと圧迫が見られる。脊髄の信号強度
度は正常範囲内である。環椎歯突起関節と環軸関節 は正常範囲内である。此処でも頭蓋脊椎結合部を侵し
の嵌頓や関節の重度の配列異常を伴った骨破壊や歯 ている溶骨性変化に注目せよ。斜台の嵌頓と環椎歯突
突起の崩壊が認められる。 起関節と環軸関節の重度の不整列を伴った骨破壊と歯
突起の分裂が見られる。
図3.リフォーマットされた矢状断CTスキャン画像、 図4.リフォーマットした傍矢状断画像、骨端関節
斜台の嵌頓、環椎歯突起関節の重度の不整列を伴っ の強直が見られる。この所見は、両側に見られた。
た歯突起の骨破壊と分裂、そして扁平頭蓋底を合併
した環軸関節が見られる。歯突起が大孔を貫いてい
る。
図5.術後の頸椎の前面投影画像、後頭骨からC2まで 図6.術後の頸椎の側方投影画像、後頭骨からC2まで
広がるプレートとネジでの固定が見られる。 広がるプレートとネジによる固定が見られる。