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PAACニュース170号:咀嚼筋の筋電図活動における様々な上部頸椎の肢位の影響

2018/11/12

      Nikolaus Bellenberger,PT,MPTSc,MSc、Harry von Piekartz,PT,PhD、Alba Paris-Alemany,PT,MSc
        Roy La Touche,PT,MSc、Santiago-Diaz-Parreno,MSc 著

                                           訳:栗原輝久

要約
目的:今回の研究の目的は、表面筋電図検査によって、最大限の自発的等尺性の噛み締めの際の上部頸椎の様々な肢位に関連した咬筋や側頭筋前部の活動を明らかにする事である。
方法:今回の研究は、(女性13人、男性12人、平均年齢31歳、標準偏差8.51の)25人の被験者を用いて行った反復測定設定による横断的研究だった。中立位、伸展位、屈曲位、そして最大屈曲位での同側・反対側への回旋位での最大限に噛み締めた際の咬筋と側頭筋前部の筋電図(EMG)活動を記録した。更に上部頸椎の可動域と下顎骨の振幅についても評価した。
 バラツキに関する3方向分析を用いて筋電図活動を分析したが、その際に考慮した要素は上部頸椎、性別、左か右かで、重要性に関する仮説は相互作用側の肢位だった。
結果:バラツキに関する3方向の分析によって、幾つかの上部頸椎の肢位の間での統計的に有意な差異(F=13.724:P<.001)が明らかになったが、咬筋の筋電図活動については性別(F=.0202、P=.658)や左右(F=0.86、P=.53)で有意な差異は見られなかった。咬筋(F=0.86:P=.53)については、相互作用側の何れかの肢位に関して、有意な差異が同様に観察された。側頭筋前部の筋電図活動に関する分析では、統計的に有意な差異は見られなかった(P>.05)
結論:今回の予備研究かあ、上部頸椎の動きが咬筋の表面筋電図活動に影響するという事が示唆された。これらの所見から、頭蓋頸椎系や頭蓋下顎系との間に相互作用が存在するという1つのモデルが支持された。(J Manipulative Physiol Ther 2012;35:308-318)
検索キーワード:頸椎:頭蓋下顎系の障害:咀嚼系:咬筋:側頭筋:可動域

 
 図1.上部頸椎の動きによって生じる頸部の肢位を表している。A(左端):中立位、
 B:伸展位、C:屈曲位、D:側屈位、E:回旋位(頸椎の屈曲 + 回旋)(カラーバージョン
 はオンラインで入手可)

 臨床的適用
 ●今回の研究では、様々な頸椎肢位によって、咬筋の筋電図活動の変化が生じる事が明らかになった。
 ●我々は、頸椎の様々な肢位が側頭筋前部の筋電図活動に影響を与える事は無かったのを観察した。
 ●咬筋の筋電部活動が大きく変化するように思えた頸部肢位は、屈曲、同側への側屈、そして反対側への回旋だっ
  た。

 (以下省略)

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