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PAACニュース178号:視床外側ニューロンの体幹の機械的活性化閾値における脊椎手技スラストの強度の影響

2018/11/19

     William R.Reed,DC,PhD、Joel G.Pickar,DC,PhD、Randall S.Sozio,BS,LATG、Cynthia R.Long,PhD 著

                                              訳:栗原輝久

要約
目的:臨床現場では、手技療法を用いているドクター(例:ドクター・オブ・カイロプラクティック、ドクター・オブ・オステオパシー)が行っている素早く振幅の小さい脊椎マニピュレーション(high-velocity low-amplitude spinal manipulation:HVLA-SM)の結果として痛覚鈍麻が生じる。これまで、この痛覚鈍麻効果は、末梢や中枢の疼痛処理の変化によるものとされてきた。今回の研究の目的は、偽りのHVLA-SMのスラストの強度が広範なダイナミック・レンジ(wide dynamic range:WDR)や侵害刺激に特化した視床外側ニューロンにおける機械的体幹反応閾値を変化させるのか否かを明らかにする事である。
方法:15頭のウィスター系ラットの視床において、細胞外記録法を遂行した。受容野を持つ視床外側ニューロンには腰椎の背外側体幹が含まれているが、広範なダイナミック・レンジ(WDR)(22頭)や侵害受容に特化した(nociceptive specific:NS)外側視床ニューロン(25頭)という特徴が見られた。3種類のスラスト強度(対照群、体重の55%と85%)での100ミリセカンドの HVLA-SMの前と直後に、電気的 von Frey の(硬い先端)での機械的な体幹刺激に対する反応閾値を3方向(背側から腹側、45°尾方、45°頭方)で決定した。
結果:侵害受容に特化したニューロンに関しては、背側から腹側方向での体重の85%のマニピュレーションと対照群のスラスト強度との間での機械的閾値において有意な違いが見られた(P=.01)。どちらか一方の HVLA-SMスラストの強度の際の広範なダイナミック・レンジについては、変化は発見されなかった。
結論:今回の研究は、広範なダイナミック・レンジと侵害受容に特異的な外側視床の機械的反応閾値における HVLAスラスト強度の効果を調査した初めてのものである。我々のデータから、単独の外側視床ニューロン・レベルでは、体幹の機械的反応閾値の上昇を引き起こすのに必要な最小限の脊椎マニピュレーション・スラストの強度が存在しているのだろうという事が示唆されている。(J Manipulative Physiol Ther 2014;37:277-286)
検索キーワード:脊椎マニピュレーション;視床:侵害受容性ニューロン;腰椎;カイロプラクティック


 実際の適用
 ●今回の研究では、侵害受容に特化した(NS)外側視床ニューロンにおいて、背側から腹側への方向の体重の85%
  のスラスト強度と対照群のスラスト強度との間には有名な違いがあるという事が明らかになった。
 ●広範なダイナミック・レンジ(WDR)の外側視床核の間では、機械的閾値の変化は見られなかった。
 ●今回の予備的研究から、単一の視床ニューロンのレベルでは、体幹の機械的閾値の増大を引き起こすために必要な 
  最小限の脊椎手技スラスト強度というものが存在するだろうという事が示唆されている。
 ●侵害性の中枢処理における臨床医制御の制定力学的パラメーターを観察しながら、正常な、急性の、そして慢性の
  動物モデルにおけるより大規模な研究を行う必要がある。

  (以下省略)

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