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PAACニュース178号:脊椎マニピュレーションの際の前荷重の役割:健康成人の運動学的反応や筋電図反応に関する実験的研究

2018/11/19

             Francois Nougarou,PhD、Claude Dugas,PhD、Michel Loranger、Isabelle Page,DC
             Martin Descrarreaux,DC,PhD 著

                                              訳:栗原輝久

要約
目的:これまでの研究は、手技療法家(ドクター・オブ・カイロプラクティックやドクター・オブ・オステオパシー)が行っているように、脊椎手技療法(spinal manipulative Therapy:SMT)の前負荷と熟練した遂行の重要な特性をを識別してきた。スラスト前に段階的な力を用いる事で、脊椎ユニットの剛性が増して、スラスト中の移動が最小限に抑えられるという事が示唆されてきた。そのために、今回の研究の主要目的は、椎骨ユニットの生体力学と前荷重力の段階的な増加に対する神経筋反応を計測する事である。
方法:23人の参加者は、サーボ機構制御による線形作動装置によってもたらされる4つの異なるSMT力-時間の側面を受けたが、実験の際の前荷重力は様々で、それぞれ5、50、95、140ニュートン(N)に設定した。運動学マーカーをT6、T7、T8に配置し、筋電図電極を脊柱両側の傍脊柱筋群上に貼り付けた。
結果:前荷重力を増すことで、SMTの前荷重の最中に胸椎の傍脊柱筋群の神経筋反応や椎骨分節の移動の増大が引き起こされた。また前荷重力を増すことで、脊椎マニピュレーションのスラスト段階の最中とその直後の椎骨の矢状方向への移動や傍脊柱筋活動の大きな増大が生じた。SMTのスラスト段階の際に観察される変化は、前荷重力の比例的増大や加力率の関連変化によって説明できる。今回の研究では、健康な参加者のみを検証したが、前荷重力は、活動に関するSMTメカニズムを基礎とした重要なパラメーター(母数)なのかもしれない。今後の研究で、SMTの投与量に変化をもたせる事の臨床上の意義を調査する必要がある。
結論:今回の研究結果から、加力率の変化を通した前荷重によって、SMTに対する神経筋的・生体力学的反応が調節されるだろうという事が示唆されている。全般的に見れば、今回の結果から、活動に関するSMTメカニズムを基礎とした前荷重力や加力率が重要なパラメーターなのだろうという事が示唆される。(j Manipulative Physiol Ther 2014;37:287-293)
検索キーワード:脊椎マニピュレーション:用量反応関係:力:筋電図:運動学:マニピュレーション:カイロプラクティック

  実際的応用
  ●前荷重力は、HVLA脊椎マニピュレーションの特徴である。
  ●今回の研究では、脊椎マニピュレーションの際に加えられる様々なレベルの前荷重力が局所の筋活動や運動学的
   反応をどのように修正するのかを調査した。
  ●前荷重力を増大させる事で、脊椎マニピュレーションの前荷重段階の際の椎骨の矢状方向の移動と傍脊柱筋活動
   の大きな増大へと至る。
  ●更に前荷重力の増大は、脊椎マニピュレーションのスラスト段階での椎骨の矢状方向の移動と傍脊柱筋活動の大
   きな減少へと至る。

  (以下省略)

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