• トップ
  • 院長ブログ
  • PAACニュース179号:腰椎辷り症の被検者の不安定性と耐久性の臨床検査の疼痛、身体障害、診断に関する正確さ

PAACニュース179号:腰椎辷り症の被検者の不安定性と耐久性の臨床検査の疼痛、身体障害、診断に関する正確さ

2018/11/21

     Silvano Ferrari,PT、Caria Vanti,PT,OMPT、Raffaella Piccarreta,PhD、Marco Monticone,MD,PhD 著

                                              訳:栗原輝久

要約
目的:今回の研究の目的は、(1)脊椎の不安定性、感知される疼痛や身体障害、症候性の脊椎辷り症(spondylolisthesis:SPL)を検出する複数の主要な臨床検査の間の関連を調査する事、(2)耐久性検査と不安定性検査の間の関連を検査する事、(3)動的レントゲン像を背景として診断された不安定な症候性の脊椎辷り症(SPL)について、これらの検査の診断上の正確さを調査する事、である。
方法:119人の被検者において、4種類の不安定検査、異常運動、能動的下肢伸展挙上(active straight leg raising:ASLR)、伏臥位での不安定検査、他動的下肢伸展挙上(passive lumbar extension test:PLE);そして2種類の耐久性検査、伏臥位でのブリッジ・テスト(prone bridge test:PBT)、仰臥位でのブリッジ・テスト(supine bridge test:SBT)について評価した。数値化疼痛評価基準(numeric raiting scale for pain)とオズウェストリー身体障害指数(Oswestry Disability Index for disability)とその結果を比較した。64人の被検者について、これらの検査を指数検査として用いて、参考基準として動的レントゲン像と比較した。
結果:身体障害とASLR以外の全ての臨床検査との間には、有意な関係が観察された。検査と疼痛との関係は、それよりも薄弱で、伏臥位の不安定検査と異常運動についての有意性は無かったが、ASLRにとっては重要だった(P=.05)。耐久性検査と不安定検査との間の関連性は低かった。動的レントゲン像と有意な関連性が見られたのは、他動的腰椎伸展検査(PLE)のみだった(P=.017)。
結論:症候性の脊椎辷り症(SPL)については、耐久性検査と不安定検査は、疼痛の程度との関連性は低いように思われたが、身体障害とは有意に関連していた。評価した検査については、陽性の動的レントゲン像を予測できる最良のものは他動的腰椎伸展検査(PLE)だった。(J Manipulative Physiol Ther 2014;37:647-659)
検索キーワード:関節の不安定性:筋骨格系疾患:身体検査:脊椎辷り症

                
        図2.異常運動(の検査)(カラー・ヴァージョンはオンラインで入手可)

   
   図3.AとB。伏臥位での不安定検査。(カラー・ヴァージョンはオンラインで入手可)

    
  図4.他動的腰椎伸展検査。(カラー・ヴァージョンは  図5.能動的下肢伸展挙上。(カラー・ヴァージョン
  オンラインで入手可)                はオンラインで入手可)

    
  図6.仰臥位でのブリッジ・テスト。(カラー・ヴァ  図7.伏臥位でのブリッジ・テスト。(カラー・ヴァージ
  ―ジョンはオンラインで入手可)          ョンはオンラインで入手可)

  実際の適用
  ●腰椎の脊椎辷り症の被検者に関しては、臨床的な不安定検査(異常運動、能動的下肢伸展挙上、腹臥位での不安
   定検査、他動的腰椎伸展検査)と耐久性検査(仰臥位でのブリッジ・テストと側臥位でのブリッジ・テスト)が
   疼痛の程度と関連していて、身体障害の程度とは非常に強く関連している。
  ●調査した臨床検査の中では、他動的腰椎伸展検査に、陽性の動的レントゲン像を予測するための最も高い診断精
   度と診断力がある事が実証された。
  ●耐久性検査と疼痛の程度の間には脆弱だが、有意な関係が見られた。

  (以下省略)
  

PAGE TOP