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PAACニュース179号:頸椎原性頭痛と胸鎖乳突筋の活性的なトリガー・ポイントのための手技治療:予備的無策化臨床試験

2018/11/21

 Germa Bodes-Pardo,PT,MSc、Daniel Pecos-Martin,PT,PhD、Tomas Gallego-Izquierdo,PT,PhD
 Jaime Salom-Mereno,PT,MSc、Cesar Fermande-de-las-Penas,PT,PhD、Ricardo Ortega-Santiago,pt,PhD 著

                                              訳:栗原輝久

要約
目的:今回の研究の目的は、頸椎原性頭痛(cervicogenic headache:CeH)患者の胸鎖乳突筋の活性的なトリガー・ポンと(trigger point:TrPs)に対する手技治療の効果を測定するための臨床試験の実現可能性を明らかにする事である。
方法:頸椎原性頭痛と胸鎖乳突筋の活性的なトリガー・ポイントという臨床診断を下された20人の患者(男7人、女13人)(平均年齢 ± 標準偏差、39±13歳)を無作為に2つのグループに分けた。1つのグループはトリガー・ポイント療法(緊張した筋線維帯に手技圧を加えて、他動的なストレッチを行う)を受けた、他のグループは偽りのトリガー・ポイント療法(トリガー・ポイントの位置を確認しても更なる圧迫は加えない、長軸方向へと撫でるが、ストレッチは行わない)を受けた。主要転帰は、前の週に経験した頭痛に基づいた頭痛強度(数値式疼痛尺度)だった。二次転帰には、頸部痛強度、頸椎可動域(cervical range of motion:CROM)、上部頸椎の関節上の圧痛閾値(pressure threshold:PPT)、頸椎深部屈筋群の運動能力があった。基準時と治療から1週後に転帰の記録を録った。
結果:トリガー・ポイント療法を受けた患者には、偽療法を受けた患者よりも非常に大きな頭痛と頸部痛の強度の減少が見られた(P<.001)。トリガー・ポイント療法を受けた患者は、偽療法を受けた患者と比べると、頸部深部屈筋群の運動能力、能動的頸椎可動域、圧痛覚閾値(全てP<.001)の非情に大きな改善を経験した。グループ間のエフェクト・サイズ(差/分散)は大きかった。(全ての標準化平均差>.084)。
結論:今回の研究によって、1つの特徴を持った試験が実行可能だという予備的証拠が得られた。この予備的所見から、胸鎖乳突筋の活性的トリガーポイントがみられる頸椎原性頭痛患者については、胸鎖乳突筋の活性的トリガー・ポイントを狙った手技療法が頭痛や頸部痛の減少に効果的で、これによって頸部深部屈筋群の運動能力を高め、圧痛覚閾値や能動的頸椎可動域が増加するだろうという事が明らかとなった。非常に大きな標本規模で、長期間の影響を検証した研究が必要である。(J Manipulative Physiol Ther 2013;36:403-411)
検索キーワード:頸椎原性頭痛:トリガー・ポイント:頸部筋群;手技療法

        
 図1.胸鎖乳突筋のトリガー・ポイントからの関連痛。    図2.頭蓋頸椎屈曲テストによる頸部深部屈筋群の
 頸椎原性頭痛によく似ている。                   運動能力の評価。(カラー・ヴァージョンはオン
                              ラインで入手可)

  
 図3.胸鎖乳突筋のトリガー・ポイントの緊張した筋線維帯の
 手技ストレッチ。(カラー・ヴァージョンはオンラインで
 入手可) 


  実際の応用
  ●頸椎原性頭痛患者の活性的なトリガー・ポイントへの手技療法を行う事で、圧痛感度(pressure pain
   sensitivity)、頸椎可動域、頸部深部屈筋群の運動能力jが改善した。
  ●頸椎原性頭痛の患者については、胸鎖乳突筋の活性的トリガー・ポイントに対する手技療法によって、頸部痛と
   頭痛の強度が減少した。
  ●これらの結果の妥当性を明らかにするには、今後の無作為化比較試験が必要である。

  

 

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