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小児のカイロプラクティックより(妊娠初期の3ヶ月・母体の解剖学と発達)

2019/02/26

母体の解剖学と発達
 妊娠期間は、最終正常月経の最初の日から計算する。これは、普通、28日周期(の月経)と出血が始まってかあ14日後に排卵があると事を想定している。それ故、妊娠期間(実際に月経が無い期間)は、37週から42週の間である。正常な妊娠期間が完了してからの出産は、最終正常月経期間の最初の日から37週かあ42週の間で行われるのである。
 妊娠は、3ヶ月ごとに分割される。各々のきかんは約3ヶ月である。最初の3ヶ月の間に、妊娠した子宮は、準備のために大きく変形させられる。先ず子宮内膜は肥厚し、胎生学的な成長と発達をその豊かな影響供給を通して支えている脈管も増加してくる。初期段階の胎盤は、妊娠3ヶ月で子宮内膜まで広がる卵膜絨毛によって構築される。母体の血液は、絨毛間スペースを通して循環しており、胎児の血液循環は、この構成物の根元から広がっている。胎児と母体の血液循環は、薄い膜によって隔てられていて、混合しないようになっている。
 細胞の分裂と分化の複雑な過程を通して、胎児、胎盤、羊膜嚢と羊水が産生される。羊膜嚢は、胎盤胞を包んでいる。封入された羊水は、体温と胎生学上の円滑な胎児の動きを調節し、外部の動きや衝突に対してショックアブソーバーとして働く。
 主に生理学的な要求の増大とそれに伴った新陳代謝の変化によって、妊娠した患者は、しばしば酷い疲労感を經驗する。妊娠初期の3ヶ月間の患者の80%は、吐き気や嘔吐に見舞われる。これを総称して、❝ 早朝嘔吐(つわり) ❞と言うが、これは、1日中、様々な時にみられるものである。その病因については、胎盤によって産生されるヒト絨毛ゴナドトロピンの影響であるとの仮説が立てられている。
 乳腺組織は、妊娠が進行していく時に、循環しているエストロゲンとプロゲステロンの量が増す事で影響を受ける。妊娠初期の3ヶ月間のホルモン活動の一般的な徴候には、乳腺の膨張、静脈が目立ってくる、過敏性の自覚、そして乳頭周辺の疼くような感じが挙げられる。それに加えて、乳輪が大きくなり、黒ずむ、そして潤滑剤の産生を助けるために、モントゴメリー腺が増殖し、膨張する。
 子宮の上縁は、恥骨結合の直上に留まっているが、この子宮の適度の膨張によって、膀胱が圧迫され、そのために排尿回数が増す。膣と子宮頸部は青みがかってきて(Chadwick's サイン)、子宮頸部は軟化し、膣からの分泌は増加する。
 しばしば感情的な不安定と酷い疲労感が妊娠初期の特徴的な徴候になる。

骨盤構造
 骨性の骨盤は、4つの骨構造から成り、それは2つの寛骨と仙骨と尾骨である。これらの骨を連結している4つの関節は、恥骨結合、仙尾関節、両側の仙腸関節である。これらの骨盤構造は、脊柱と上体の基礎と支柱としての機能を持ち、下肢に重力を伝達し、体重を支えている。
 女性の骨盤は、思春期の間に出産に適合するようになる。思春期前の骨盤は、類人猿のような形で、思春期の急激な成長を通して大きな女性らしい骨盤へと成長していく。胎児-骨盤の不均衡は、骨性に成熟した女性よりも10代の女性に多く発生している。

寛骨
 2つの寛骨は、寛骨臼の周辺に腸骨、坐骨、恥骨が融合している事によって形成されている。腸骨部分は、寛骨上部にあたる。腸骨体は坐骨体と融合している。腸骨翼は上方、外方にある。腸骨には、以下の解剖学的ランドマーク(他の組織あるいは器官のある位置を知る指標に用いられる解剖学的組織)が記されている:前上腸骨棘、これは鼠径靭帯の付着部である;後上腸骨棘、これは第2仙椎と水平な位置にある;そして腸骨稜、これは、上前腸骨棘から後上腸骨棘までの部分である。
 坐骨は、上枝と下枝が融合している坐骨体から成っている。坐骨には、幾つかの顕著なランドマークがあり、これには坐骨体がその一部を成している寛骨臼が含まれている。坐骨上枝は坐骨体の後下方にあり、坐骨下枝は恥骨上枝と融合している。そして坐骨棘は、大坐骨切痕と小坐骨切痕を分けている。坐骨棘は肛門挙筋の付着部になっている。坐骨結節は坐骨の下部に位置し、"sitting bone" と呼ばれている。
 恥骨は2つの枝と体部から成っている。目立った解剖学的なランドマークは、以下の通りである、恥骨体は中間部分に粗面があり、反対側の恥骨の同じ部位と結合して、恥骨結合を形成していっる。肛門挙筋は、恥骨の骨盤部分(内側部分)にも付着している。恥骨稜は、恥骨体の上縁に相当し、恥骨稜の外側部分には、恥骨結節あるいは恥骨棘と呼ばれる部位がある。それは鼠径靭帯と結合腱の付着部である。恥骨上枝は、恥骨棘の部位で恥骨体と、恥骨櫛線の部位で腸骨体と結合し、寛骨臼の一部を形成している。恥骨下枝は、坐骨下枝と融合している。
 他の解剖学的な骨盤のランドマークには、恥骨結節から後方に向かって仙腸関節へと延びている腸骨線がある。この線は、骨盤入口境界線の大部分を形成している。大坐骨切痕は、上方の後下腸骨棘と下方の坐骨棘の間に位置している。小坐骨切痕は、上方は坐骨棘、下方は坐骨結節によって境されている。閉鎖孔は、寛骨臼、坐骨枝、恥骨枝によって形成されている。

仙骨
 仙骨は、底辺が上になって、頂点が下になった三角形の骨である。仙骨は、5つの分節が骨成熟する事で、御互いに融合して形成される。仙骨は両側の寛骨の間に位置し、仙腸関節によってそれらと結合している。
 上方では、第1仙椎が第5腰椎の下面と関節しているが、その間には椎間板がある。仙骨の前面あるいは骨盤面は、凹面になっていて、後面は凸面になっている。第1仙椎の前上縁は、岬角となっている。この岬角は骨盤腔の中に僅かに突き出ていて、骨盤入口の前後径を減少させている。Bargaによれば、女性の岬角は、仙骨の"台”の大部分を占めている。彼は、”椎体の1/4ほどが仙骨上端に癒合しているような”レントゲン像を発表して、それについて詳述している。更に彼は、このタイプの仙骨にはしばしば縦方向の成長の不均衡がみられるという事も述べている。Bautch達は、女性においてのこの種の不均衡の発生率は、生体力学的な不安定性から側彎症の発生率が高い事に関与している事を示して、この所見を支持している。

尾骨
 一般的に尾骨は、"tailbone" と呼ばれているが、3~5椎の発育不全によって形成されている。第1尾椎の上面は、第5仙椎の下面と関節していて、仙尾関節を形成している。尾骨筋、肛門挙筋、外肛門括約筋は、上方から下方へと尾骨に付着している。 

骨盤の関節
 恥骨結合は軟骨性関節で、関節包と滑膜は無い。この関節の動きは非常に小さい。後部と上部の靭帯は脆弱である。強靭な前部の靭帯は、腹直筋と外腹斜筋の腱によって強化されている。恥骨弓の下部の強靭な靭帯は、弓状恥骨靭帯として知られている。それは、恥骨枝の間にあり、恥骨(弓)下角に小さなスペースを残している。
 仙尾関節は滑膜性の蝶番関節で、第5仙椎と第1尾椎の間に位置している。それは、屈曲と伸展が可能である。伸展によって骨盤入口の前後径は増大するので、分娩の際には重要な役割を担う。分娩時の過伸展によって、仙尾関節の成す角度が無理に変えられてしまう。この関節には、脆弱な関節包がある。そしてそれは、前、後、外側仙尾靭帯によって強化されている。
 仙腸関節は、仙骨と腸骨の間の関節面にある。これらの関節は、骨盤、更には下肢に体重を伝達している。これらの関節は滑膜関節で、各々は計測可能な僅かな動きを有している。関節包は、幾分脆弱である。そして4つの主要な靭帯と2つの付随的な靭帯の他に、部分的にはこの関節周辺の筋によっても安定性が保たれている。
 正常に観察される主要な靭帯には、前仙腸関節靭帯がある。それは短くて、腸骨の耳状面前溝から仙骨翼の前部へと横切っている:骨間仙腸靭帯、それは短いが、腸骨の耳状面から仙骨の隣接部へと延びている強靭な帯である;短後仙腸靭帯、それは、骨間靭帯の後部を横切る強靭な帯である;長後仙腸靭帯は後上腸骨棘から第3、4仙椎の結節に付着している。
 付随する靭帯には仙結節靭帯が含まれ、それは、一方の後上腸骨棘、第3、第4、5仙結節、そして尾骨の外縁に付着している。反対側では、仙結節靭帯は坐骨結節の骨盤面(内側面)に付着している。仙棘靭帯の形は三角形である。その底辺部分は、第5仙椎と第1尾椎の外側部分に付着していて、頂点部分は坐骨棘に付着している。




 

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