続PAACニュース:脳性麻痺小児への全身振動エクササイズの効果

2025/03/19

要約
目的:今回の研究の目的は、片麻痺性脳性麻痺(hemiparetic cerebral palsy:CP)の小児のハムストリング:大腿四頭筋(hamstrings-to-quadriceps:HQ)の筋力バランス(ratio)訳注1、歩行能力、姿勢制御に対する伝統的な理学療法と全身振動(whole body vibration訳注2:WBV)エクササイズの組み合わせの効果を調査するというものだった。
方法:片麻痺性脳性麻痺の合計34人の小児(少年と少女)が両腕並行の無作為化比較試験に参加した。試験対象患者基準は、痙性1から痙性1+までの範囲で総合レベルスキル(ⅠとⅡ)、少なくとも身長1m、独り立ちできる、前後方向に歩ける。彼らは無作為に対照群(伝統的理学療法)と実験群に割り当てられ、研究群は、WBVトレーニング(週に3回、2ヶ月間)と組み合わされた理学療法プログラムを受けた。盲目化された評価者による治療介入の前後に、大腿四頭筋とハムストリング筋の筋力、歩行能力、姿勢制御について評価した。
結果:2つのグループのハムストリング筋と大腿四頭筋の治療介入後の筋力値、粗大運動機能訳注3は、術前の値よりも高かった(P <.05)。その上、研究群の術後の値は、術後の値は対照群のそれよりも髙かった(P <.05)。H-Q比(hamstring-to-quadriceps ratio:HQ比)に関しては、両方のグループの術前の値、あるいは術後の値との間に有意差は見られなかった(P <.943とP <.397)。各々グループの術前の値と術後の値との間には有意差は見られなかった(それぞれP <.500、P <.195)。
結論:歩行能力と姿勢制御の改善については、伝統的な理学療法と組み合わされた8週間のWBVトレーニングは、伝統的な理学療法単独よりも効果的だった。なおその上に、複合的な治療介入によって、大腿四頭筋とハムストリング筋の筋力が強化されたが、片麻痺性脳性麻痺の小児のH-Q比に変化は見られなかった。(JManipulative Physiol Ther 2022;45;660-670)
検索キーワード:姿勢バランス;脳性麻痺;歩行;筋力;振動


訳注1:ハムストリング:大腿四頭筋の筋力のバランス:この筋力のバランスは、3:2、60%:40%が理想的だとさ 
            れている。
訳注2:全身振動:全身振動(whole-body vibration:WBV)刺激トレーニングは、振動する機械上で様々な肢位をと         
         り振動刺激を利用したトレーニングを行うもので、スポーツ領域や医療介護の現場で取り入れられ 
         ている。
訳注3:粗大運動機能:坐る、立つ、歩く、走るなどの身体を大きく使った、生活をする上で必要なる動作の事。乳児
           の粗大運動機能の発達として、生後3ヵ月ごろから寝返りを打ち、その後、這い這いやつかま
           り立ちを経て、1歳前後から歩き始めるとされている。

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